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祖父の愛機

 ・祖父は北海道で生まれ(ご先祖様は新潟)、東京に出てきたらしい。らしいというのは祖父から直接話を聞いたわけではなく、伝え聞いたものだからいまいち確証がないのです。

というのも、祖父は僕が生まれる前に耳が聞こえなくなってしまったので会話がスムーズに行かなくなったのが、僕と祖父とのコミュニケーション不足の要因。なのでこれ以降の話は確固たる事実を確認したもの以外、伝え聞いたものは全て「らしい」という言葉で締めくくる。

で、祖父は東京の写真屋さんで働いていたらしく、その頃から富士山に魅せられてよく富士五湖に来ていたらしい。

大正12年(1923年)の関東大震災の時に河口湖に来ていて、帰る場所がなくなったので河口湖に留まったらしい。それ以前に何度も河口湖を訪れていて、仲良くなっていた地元の人達の計らいで住む場所の確保などがスムーズに行ったらしい。

そして写真のオリエントを開業した。

その祖父の愛機がこのローライフレックス
祖父の愛機_e0028675_1829053.jpg

祖父は当時いろんな写真コンテストに応募していた。そして毎日新聞社の写真コンテストで賞を取った時の賞金でこのローライフレックスを購入した。

これ以降、祖父はこのカメラを持っていろんな場所に行って富士山を撮っている。そして僕も小さな頃、このカメラでよく写真を撮ってもらった。一枚撮るのに凄く時間をかけ、なかなかシャッターを切らない祖父だったのを覚えている。

祖父は12人の子(8男4女)をもうけた。つまりうちの父親は12人兄弟ということ。今だったら確実に大家族スペシャルで狙われていた。

そして、子ども達の中で6人が写真の仕事に就いた。
by syashin_ya | 2012-09-08 19:14